2011年1月5日水曜日

亡き児文也の霊に捧ぐ「また来ん春……」

また来ん春と人は云ふ
しかし私は辛いのだ
春が来たつて何になろ
あの子が返つて来るぢやない
 
おもへば今年の五月には
おまへを抱いて動物園
象を見せても猫といひ
鳥を見せても猫だつた
 
最後に見せた鹿だけは
角によつぽど惹かれてか
何とも云はず 眺めてた
 
ほんにおまへもあの時は
此の世の光のたゞ中に
立つて眺めてゐたつけが……

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